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 かつて地球には月が2つ存在したが、一方は他方にゆっくりと衝突して消滅し、その結果、現在の月には起伏の激しい側と平坦な側が生まれたという新たな説が登場した。
 月には、常に地球のほうを向いている“表側”と、地球からは見えない“裏側”があるが、両半球に違いがあることは、長らく天文学者の間で謎となっている。表側の地形は比較的高度が低くて平坦なのに対し、裏側は高くて山が多く、地殻がはるかに厚い。
 新たなコンピューターモデルによると、この違いは、月より小さな“随伴衛星”が、初期のころに月の裏側に衝突したと考えることで説明がつくという。そのような衝突が起こると、非常に硬い岩石物質が月の裏側に飛び散る結果となり、それが現在、月の高地を形成しているというのだ。
 この説が事実なら、小さいほうの月は、大きいほうの月に時速約7100キロでぶつかった計算になる。
 「質量の大きい2つの物体が互いの重力に引かれてぶつかったとすると、これは考えられる限り最も速度の遅い衝突だ」と研究共著者でカリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)の惑星科学者であるエリック・アスフォーグ(Erik Asphaug)氏は話す。
 そのような比較的遅いスピードで月の裏側に衝突した場合、岩石が溶けたり、クレーターができたりするほどのエネルギーは生じなかったはずだ。代わりに、小さいほうの月の物質が、大きいほうの月の表面にまき散らされたと考えられる。
 「自動車の衝突と同じで、バンパーはつぶれても互いの車体が溶けたりはしない。それと同様の現象だ」とアスフォーグ氏は言う。

(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 8月4日(木)14時45分配信)

月


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